出産が近づくと、人によってはお腹の張りに痛みを伴う前駆陣痛がある方もいます。
前駆陣痛は、人によって痛みの強さや感じ方が異なるため、病院にすぐに行った方がいいのかな、赤ちゃんがもう生まれてしまうのかなと不安に思う方もいるでしょう。
この記事では、前駆陣痛と本陣痛の違い、そして前駆陣痛中の過ごし方、病院へ連絡するタイミングについてご紹介します。
これから出産を控えている方はぜひ参考にしてくださいね。
前駆陣痛とは
そもそも前駆陣痛は何なのか、初めて出産する方には聞き慣れない言葉でしょう。
前駆陣痛はブラクストン・ヒックス収縮とも呼ばれ、不規則に子宮が収縮し、出産の準備をしている状態です。
前駆陣痛とは、本格的な陣痛の前段階に起こる不規則なお腹の張りと痛みのことをいいます。
前駆陣痛はいつごろから起こる?
前駆陣痛は出産の前段階の痛みを伴うお腹の張りです。
そのためいわゆる臨月と言われる時期、妊娠36週〜40週前後に起こることが多いと言われています。
前駆陣痛はどれぐらい続く?
前駆陣痛は、不規則に続く有痛性のお腹の張りですが、どれぐらい続くのかは個人差があります。
運動した後など、動いた後に一時的にある場合や、毎日決まった時間に起こる場合があります。
夜間帯に始まり、朝には消滅するパターンが2・3日続く、ということもあります。
人により、また日により前駆陣痛がどの程度続くのかは異なります。
前駆陣痛の痛みはどの程度?
人により感じ方が全く違いますが、下記のように感じる方が多いようです。
- 生理痛よりも少し重い
- 下痢のようなお腹の痛み
生理痛のような痛み
前駆陣痛は生理の時のような痛みと感じる方が多いです。
ズーンと下腹部が重い痛みや、ギュッと収縮するような痛みを感じるなど、個人差があります。
前駆陣痛では、子宮が収縮するため、生理の時のような下腹部の痛みを感じる方が多いでしょう。
下痢のような痛み
前駆陣痛をお腹を下した時のような、下痢の時の痛みのように感じる方もいます。これまで生理痛がなかった人は、下痢の時のような痛みだと感じるようです。
トイレに行っても下痢ではない場合は、前駆陣痛の場合があります。
本陣痛との違いは?
前駆陣痛が起こると不安に思うのが、「このまま赤ちゃんが生まれてしまうのでは?」ということではないでしょうか。
前駆陣痛と本陣痛の大きな違いは痛みの強さと間隔です。
痛みがどんどん強くなる
前駆陣痛とは違い、本陣痛の場合はどんどん痛みが強くなります。
前駆陣痛とは比べ物にならないぐらい、我慢できないほどに痛みが強くなっていきます。
最初は生理痛程度だった痛みがだんだん強くなってくるようであれば、本格的に陣痛が始まりつつあると言えるでしょう。
痛みの間隔が短くなる
痛みの間隔も前駆陣痛の場合は不規則で、変わらなかったりもしくは遠のいてしまいますが、本陣痛の場合はだんだん短くなります。
陣痛かどうかわからない場合は、痛みの間隔を確認してみましょう。
本陣痛と前駆陣痛を見極めることは難しいかもしれませんが、判断に迷う場合は一度病院に連絡してみるといいでしょう。
陣痛の兆候は?
出産するにあたり重要な陣痛ですが、陣痛が始まる前の兆候はおしるしと前駆陣痛です。
おしるし
おしるしは頸管粘液のことで、出産が近づくと出てくることが多いです。
おりものが茶色や赤色、ピンク色に色がつきます。
おしるしが出てくると、出産が近づいているサインになるので、「そろそろかな〜」と出産に向けて準備をしましょう。
前駆陣痛から出産まで何日ぐらいかかる?
前駆陣痛があると、もうすぐ赤ちゃんが生まれるかもしれないとドキドキする方も多いでしょう。
ただ、前駆陣痛がきてから本格的に陣痛がくるまでは個人差があり、数時間以内の場合もあれば、数日かかる場合もあります。
前駆陣痛がくるともうすぐかなと準備するかもしれませんが、すぐに本陣痛がくるわけではないので、「まだ本陣痛がこない」と焦らずに待ちましょう。
前駆陣痛中の過ごし方
前駆陣痛が始まったら、どのように過ごしたらいいのでしょうか。
リラックスして過ごす
まず大切なことが、なるべくリラックスして過ごすことです。
前駆陣痛が始まると、痛みと本陣痛への不安で緊張する方もいるでしょう。
しかし先述したとおり、前駆陣痛があっても陣痛が本格的に起こるまで時間がかかる場合もあります。
ずっと緊張した状態で過ごしていると、体が休まらないので、ゆっくりお風呂に入ったり、好きな音楽を聞いたり、アロマを使ったりと、できるだけリラックスして過ごしましょう。
食事をとる
お腹のはりや痛みがある中で、食事をとることは難しいかもしれません。しかし、これからどんどん痛みが強くなるため、食事をとることが難しくなっていきます。
食事をとっていないと、エネルギー不足で陣痛が弱まってしまうことがあります。そのため、食べられるうちにおにぎりやゼリーなど食べられるものをしっかりと食べておきましょう。
入院準備の確認をする
入院準備は臨月に入るまで、できれば34週ごろまでには完成させてください。ある程度荷物の準備ができていても、最後に荷物の追加をすることもあるでしょう。
このまま本格的に陣痛がきて、いつ入院になってもいいように、荷物の最終確認を済ませて、いつでも入院できる状態にしましょう。
メリハリをつける
お腹の張りが増えてくると、このまま陣痛になるのではないかと不安になり、張りの間隔をアプリでつけていたらなかなか休めなかったという方がいます。
今後本格的に陣痛がきてしまうと、痛みでなかなか寝られないようになります。
睡眠不足から体力がなくなってしまうと、陣痛がきていても、陣痛が弱くなってしまい、分娩にかかる時間が長くなってしまう原因になるのです。お腹の張りが気になって休めない場合でも、張りと張りの間に横になり、できるだけ体を休めて体力温存に努めましょう。
また、夜にお腹の張りでなかなか休めない場合は日中にお昼寝をするなど、休めるときは休み、動ける時は動いた方が早く陣痛へ移行しやすいです。
前駆陣痛でも痛みが気になって休めない場合は?
前駆陣痛であっても、お腹の張りや痛みの感じ方は人それぞれなので、気になってなかなか休めない場合があります。臨月に入ると出産に向けて体も準備を始めるので、お腹の張りや痛みはある程度増えてきます。
前述したとおり、痛くない間に食事をしたり、お風呂に入ったりするなど、できるだけリラックスして過ごしましょう。
また、張りの間隔が気になってずっとアプリをつけている人もいますが、本格的に痛くなるまではあまり気にしすぎないようにしてください。
病院へいつ連絡する?いつ行くの?
本格的に陣痛がきた場合、どのタイミングで病院に連絡するのか悩む方もいるでしょう。
病院への連絡のタイミングは人それぞれですが、ここからは、病院へ連絡するタイミングの目安についてご紹介します。
陣痛の間隔が規則的になる
陣痛の間隔が規則的になった段階で一度病院に連絡をしましょう。
具体的には
- 10分以内間隔のお腹の痛みと張りが1時間以上続く
初産婦の場合は、このタイミングで一度病院に連絡してください。
病院までの時間や子宮口の開き具合で、もう少し自宅で様子をみるか、病院に行くかは病院から指示があるので、指示に従いましょう。
ただ、経産婦で前回の出産時間が早かった場合は、15-20分間隔でも規則的に有痛性にお腹が張り始めたら連絡をする場合もあります。
妊婦検診の時に病院に確認し、早めに連絡するように言われている場合は、指示に従いましょう。
陣痛がきてから出産まではどれぐらいかかる?
分娩は陣痛が始まってから子宮口が全部開く(全開大)までの分娩第一期、子宮口が全開大してから赤ちゃんが生まれるまでの分娩第二期、赤ちゃんが生まれてから胎盤が出るまでの分娩第三期と3つの段階にわかれています。
分娩第一期とは?
分娩第一期とは、陣痛が始まってから、子宮口が全部開くまでの時期をいいます。出産にかかる時間を大きく左右し、また個人差が非常に大きいのがこの分娩第一期です。
分娩第一期は、陣痛が始まり、それから子宮口がだんだん開いていく時期で、痛みがどんどん強くなります。
はじめは生理痛程度で耐えられる程度だった痛みも子宮口がだんだん開いてくると痛みが増し、話せなくなったり、動けなくなったりすることもあるでしょう。また強い痛みで体が震える人もいます。
分娩第二期とは?
分娩第二期とは、子宮口が全部開いてから(全開大)赤ちゃんが出てくるまでの時期をいいます。
赤ちゃんは狭い産道を通って、ゆっくりと降りてくるので、この時期は赤ちゃんを出したい、いきみたいと感じる方がほとんどです。
陣痛に合わせて赤ちゃんが降りてこようとするので、赤ちゃんを出すために、力を振り絞っていきむ時期です。
分娩第三期とは?
分娩第三期は赤ちゃんが生まれてから胎盤が出るまでの時期をいいます。
赤ちゃんが生まれた後に子宮が収縮し、胎盤が自然に剥がれて役目を終えた胎盤が出てきます。
赤ちゃんが生まれて出産が終わりと思う方もいますが、胎盤が出てくるまでに時間がかかったり、出血が増えたりすると危険なので、注意が必要な時期です。
破水している
陣痛がきていなくても、破水した場合や破水を疑われる場合は、病院に連絡しましょう。
破水は、赤ちゃんを包んでいる卵膜が破れて羊水が流れ出ることをいいます。
破水は陣痛よりも先に起こることがあり、前兆なく急に羊水が流れてくる感覚がある場合や、バチンと音がして破れて羊水が流れてくる場合など様々です。
破水すると、透明〜白色のものが流れてきますが、おしるしがある場合、出血と混ざってピンク色の場合があります。パット全面が濡れるほど量が多い場合もあれば、少量の場合もあり、人によって個人差があります。
破水した場合は、すぐに病院へ連絡する必要がありますが、量が少ない場合は尿漏れと区別がつきにくいこともあるでしょう。妊娠後期は頻尿になり、尿漏れがしやすい方も多いですが、破水している場合は自分の意思と関係なく動いたら流れ出る感覚があります。
尿漏れか破水か判断がつかない場合は、病院に連絡しましょう。破水をすると、細菌感染予防のため入院し抗生物質を投与することになります。
こんな時は病院にすぐに連絡を!
陣痛や破水がなくても、緊急を要する場合は、病院にすぐに連絡し受診が必要です。
お腹がずっと痛い、出血が多い
- お腹が急激に痛くなり、休みなくずっと痛く張っている
- 出血が生理2日目以上出ている
陣痛は必ず痛い時と痛くない時がありますが、お腹がずっと絶え間なく痛い、カチカチにお腹が張っている、生理2日目以上の出血がある場合は「常位胎盤早期剥離」になっている可能性があります。
「常位胎盤早期剥離」は赤ちゃんがお腹の中にいるにもかかわらず、胎盤が先に剥がれてしまう病気で、赤ちゃんにも母体にも命の危険があります。
この病気は前兆がなく急に発症するので、おかしいなと思ったらすぐに連絡しましょう。
胎動がない
赤ちゃんの胎動を感じない場合もすぐに連絡しましょう。
赤ちゃんは寝て起きてと睡眠サイクルがありますが、1時間以上胎動がない場合は病院へ連絡し受診を相談してください。
臨月に入ると赤ちゃんがだんだん骨盤の中へ入ってくるので、胎動を感じにくくなる場合がありますが、胎動が全くないことは絶対にありません。
胎動は赤ちゃんがママへ「元気だよ!」と伝えているサインなので、必ず確認してくださいね。
まとめ
陣痛の前段階の前駆陣痛ですが、初めての出産の場合は特に、陣痛なのかなと気になってしまう方も多いでしょう。
いつ出産になってもいいように、荷物の準備だけでなく、体・心の準備もしてくださいね。