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妊娠中に風邪をひいた場合の赤ちゃんへの影響は?対処方法や飲んでいい薬を紹介

医療法人みらいグループ
体調不良の女性

妊娠中に風邪をひいてしまったら、薬を飲んでもいいのか、赤ちゃんへ影響はないのかと気になることがあるでしょう。
この記事では、妊娠中に風邪をひいた場合の対処方法と妊娠中でも飲んでいい薬をご紹介します。

妊娠中に風邪をひいた場合、病院の受診は必要時でOK

妊娠中気をつけていても風邪をひいてしまうことはあるでしょう。特に妊娠中は抵抗力が低下しているため、風邪などの感染症にかかりやすい状態です。
風邪をひいてしまったら、病院の受診は必要なのかと悩む方もいるかもしれません。妊娠していない状況であれば、風邪をひいたらしっかり睡眠をとり、食事をとったりして回復に努める方が多いでしょう。妊娠中も同様で、風邪だけであれば、基本的に病院を受診する必要はありません。自宅で安静にしながら水分をとり、しっかり休息をとりましょう。
しかし、水分が全くとれなかったり、高熱が数日続いたりする場合は、一度病院に相談してください。

風邪をひいて赤ちゃんへ影響はある?

風邪をひいて赤ちゃんに影響があるのではと気になる方もいるでしょう。基本的に、普通の風邪が赤ちゃんへ悪影響を及ぼすことはありません。そのため、心配しすぎなくていいでしょう。
妊娠中期以降の胎動がわかるようになってからは、赤ちゃんの胎動を確認してくださいね。

妊娠中風邪をひいた場合の対処方法は?

冷却シート、体温計、薬、水が入ったグラス
妊娠中に風邪をひいた場合、基本的には、妊娠していない時と同様ですが、症状別に対処方法を解説します。

熱が出る場合

  • 水分をしっかりとる
  • 冷却シートや氷枕で頭を冷やす
  • 食事をとる
  • 睡眠をとる

熱が出る時には、体を冷やすことが大切です。冷却シートなどで頭や首・脇の下など太い血管がある部分を冷やすとはやく熱が下がります。
熱が出るときは食事をとれないこともあるかもしれませんが、水分をとらないと脱水になってしまいます。そのため、できるだけこまめに水分をとりましょう。汗をかくと熱が下がりますが、濡れた衣類で体が冷えてしまうので、衣類や寝具は汗で濡れてしまったらこまめに交換してくださいね。

咳が出る場合

咳が出る場合、ひどい咳が続くとお腹の張りにつながることもあります。そのため、以下の方法を試してみてください。

  • 水分をとる
  • 部屋を加湿する
  • 頭を少しあげて横になる

風邪をひいた場合に飲んでいい薬はある?

薬
妊娠中は使える薬が少ないため、風邪をひいても薬を飲めないのでは?と思っている方もいるかもしれません。妊娠中でも使用できる薬はあります。

アセトアミノフェン(解熱鎮痛剤)

アセトアミノフェンは妊娠中でも安全に使用できる薬です。そのため、風邪をひいた場合に飲んでも問題ありません。使用するタイミングとしては、熱が出ているときや頭痛がするときなどです。

メジコン(咳止め)

妊娠中の咳止めとして使用されることが多いメジコンは、安全性が高いため、妊娠中に使用されます。内科など病院を受診すると処方されることが多いでしょう。

参蘇飲(じんそいん)などの漢方薬

桂枝湯、参蘇飲、香蘇散、麦門冬湯などが症状にあわせて使われることが多いです。一般的に風邪によく使われる葛根湯は、「麻黄」という薬効の強い生薬が含まれているため避けます。市販の漢方薬の場合、漢方以外にもまれに妊娠中に避けた方がいい成分が含まれていることがあるため、注意しましょう。

薬を使用するときに注意すること

ここからは、妊娠中に薬を飲む場合、注意することをご紹介します。

妊娠初期は避ける

薬を飲む場合、基本的に妊娠初期は避けた方がいいでしょう。妊娠4〜7週を「器官形成期」といい、赤ちゃんの脳や神経などを作る大切な時期です。この時期は薬を飲むと赤ちゃんの発達に影響があるため、薬を飲むことは避けるようにしましょう。
器官形成期は妊娠に気がつかない人もいるため、風邪をひいたと思い薬を飲んでしまうことがありますので注意してください。
妊娠8週〜15週までは、赤ちゃんの重要な器官の形成は終わり、過敏期はすぎていますが、奇形を起こす心配がなくなるわけではありません。そのため、薬を飲むときは必ず医師に確認しましょう。
妊娠16週以降は赤ちゃんに奇形を起こすことが問題となることはありませんが、胎盤を通過して赤ちゃんへ移行するため、薬を飲む時は注意しましょう。

薬を飲む場合は医師に確認する

持病などで薬を飲んでいる場合は、かかりつけ医に相談しましょう。すべての薬が妊娠中赤ちゃんへ影響するわけではありませんので、医師と相談して薬の種類の変更をする、飲み続けるかどうかを確認するようにしてくださいね。

【番外編】風邪とは違うかも?インフルエンザやコロナだった場合は?

風邪かも?と思っていたら、インフルエンザやコロナだったということもあるでしょう。また、インフルエンザ、コロナ、風邪は症状が似ているため、判断が難しいときもあります。
風邪の場合は様子をみていても問題ありませんが、インフルエンザやコロナの場合は以下を参考にしてみてください。

インフルエンザの場合

インフルエンザの症状は以下の通りです。

  • 38度以上の高熱
  • 関節痛
  • 頭痛

このような、インフルエンザを疑う症状があった場合は、検査を受けましょう。
妊娠中インフルエンザに感染した場合、重症化しやすいと言われています。インフルエンザに処方される薬は赤ちゃんへの影響はないと報告されていて、インフルエンザに感染していた場合は抗インフルエンザ薬のタミフルやリレンザなどが処方されます。
発症から48時間以内に服用することで、体の中でウイルスが増えることを抑え、効果を発揮すると言われているため、できるだけはやく薬を飲みましょう。
また、処方された薬は必ず飲み切って、症状がなくなっても途中でやめないようにしてくださいね。
妊娠中は薬を飲むことに抵抗がある方もいるかもしれませんが、インフルエンザが悪化し重症化すると、母体も赤ちゃんも命の危険にさらされるかもしれません。自分の体と赤ちゃんを守るためにも、必ず薬は飲みましょう。

新型コロナウイルスの場合

新型コロナウイルスの一般的な症状は以下の通りです。

  • 発熱
  • 喉の痛み
  • 頭痛
  • 関節痛
  • 鼻水
  • 味覚障害
  • 嗅覚障害
  • 全身のだるさ

妊娠中に新型コロナウイルスに感染した場合、重症化する可能性が高いと言われています。特に高血圧や糖尿病、喘息などの基礎疾患がある場合、肥満(BMI30以上)、高齢の場合は、重症化リスクが高いと言われているため、注意が必要です。
また、現時点では先天性の障害や流産リスクなど赤ちゃんへの影響は低いと考えられています。
新型コロナウイルスの治療薬は、安全性が確認されている薬は使用されることがありますが、症状を確認し、重症度や安全性などを考慮し使用が判断されます。
治療薬の安全性などの詳細は「国立成育医療研究センター」のHPに掲載されています。
症状が疑われる場合にはかかりつけ医に相談し、陽性の場合は、自宅で安静にしましょう。頭痛や発熱などの症状に応じてアセトアミノフェンなどの薬が処方されることが多いようです。

まとめ

妊娠中に風邪をひいた場合、赤ちゃんに影響しないのか、赤ちゃんは大丈夫なのかと気になることでしょう。基本的に赤ちゃんへの影響はありませんので、心配しすぎる必要はありません。妊娠中でも飲んでいい薬はあるので、医師に確認して服用してください。
妊娠中は感染症にかかりやすいため、感染予防に努めましょう。

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この記事の監修
エナみらいグループ理事長 石渡 瑞穂
石渡 瑞穂
エナみらいグループ理事長
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