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生理の移動について

医療法人みらいグループ

生理日(月経日)はホルモン剤によってコントロールすることができます。
どうしても外せないイベントと生理の日程が重なってしまったときには、無理をせずにピルの使用も視野に入れてみてください。

生理の移動について

旅行に行くとき、大事な試験やスポーツの大会があるとき、結婚式やライブなど日程をずらせない用事があるときなど、どうしても生理をずらしたい時は、ホルモン剤(低用量ピル、中用量ピルなど)を服用することで生理の日程を移動することができます。

生理の移動には、以下の2種類の方法があります。

  • イベントの前に生理を起こす(生理の前倒し)
  • イベントの後に生理を起こす(生理の引き延ばし)

イベントまでに日数の余裕が必要ですが、初めてホルモン剤を使用する方には、イベント中に薬を内服しなくてよい生理の前倒しをおすすめしております。
イベントまでに日数的な余裕がない方は、生理の引き延ばしの方法をとるかたちになります。

生理の前倒しをする場合は、ずらしたい生理のひとつ前の生理が始まったらすぐに、
生理の引き延ばしをする場合は、ずらしたい生理の予定日の一週間前までに受診してください。

受付時の必要確認事項

受付時には以下の3点を必ずお聞きします。内容により処方するホルモン剤が変わりますので、忘れないようにしましょう。

  • 最後に生理が始まった日
  • 次回の生理の開始予定日
  • 生理を移動したい日程

これらの情報を元に処方するホルモン剤を決定し、内服のスケジュールを立てていきます。
このほかにも、ホルモン剤を使用するうえで不安なことや疑問点などあれば教えてください。年齢や体型、病気、喫煙者かどうかなども処方の内容にかかわってきますので、不安な方は早めにご相談にいらしてください。

使用するホルモン剤について

当院では、使用するホルモン剤はその状況に応じてこの2種類のどれかを選択します。

  • プラノバール(中用量ピル:エストロゲンとプロゲステロン)
  • ノアルテン(ミニピル:黄体ホルモン)

ホルモン剤を処方する際に、詳しい飲み方や注意点などもあわせてご説明いたします。

プラノバールとノアルテンの違い

プラノバールは2種類の女性ホルモン(エストロゲンとプロゲステロン)が合成された中用量ピルで、ノアルテンは黄体ホルモン製剤です。

プラノバールの方が効果が高く、正しく服用していればほぼ確実にイベント期間の生理を避けることができます。ホルモンの配合量が多い分効果が高いですが、吐き気などの副作用が出ることもあります。
ノアルテンは吐き気などの副作用が少なく、血栓症のリスクが高い方でも服用できるメリットがあります。一方、プラノバールよりも効果はやや低く、内服中に少量の出血が始まることがあります。

当院では主にプラノバールを処方しておりますが、ご相談内容に応じて処方いたしますので、お気軽にご相談にいらしてください。

生理を早める方法(生理の前倒し)

生理の前倒しスケジュール

比較的副作用が少なく、イベント中にホルモン剤を服用しなくて済む方法です。
早めにピルを飲み始める必要があり、生理の1日目から5日目までに薬を内服し始めることが必須になるため、ずらしたい生理のひとつ前の生理中か、生理の直前に受診してください。

内服方法

生理の5日目以内からホルモン剤を服用開始します。

原理原則として、

  • ピルの内服中は出血はこない
  • ピルの服用を中止すると2~3日で生理(消退出血)がくる
  • 生理(消退出血)は約5日間ある
  • 最低でも10日間は内服が必要

があり、これらを考慮すると、イベントの10日前くらいにピルの服用を中止するということになります。

イベントの10日前にピルの服用を中止した場合、ひとつ前の生理が終わってから2週間程度で出血が始まるため、ずらしたい生理の日以外にイベント事はないかなど相談したうえでスケジュールを決めましょう。

メリット

生理をずらしたい期間にピルを服用する必要がありません。生理が終わり、体調が良好な時期にイベントを迎えられます。
イベント中のピルの飲み忘れの心配がないため、旅行の際などにおすすめです。

生理を遅らせる方法(生理の引き延ばし)

生理の引き延ばしスケジュール

生理を遅らせる場合、イベント期間中にピルを内服し続ける必要があります。最も早く来ると考えられる生理予定日の1週間前には受診してください。

内服方法

生理が来そうな日の約1週間前からイベントの最終日までピルを内服します。内服している間は原則生理が来ません。飲み終えてから2~3日で生理がきます。

メリット

イベント期間中も正しく服用すれば、ほぼ確実に生理を避けることができます。

血栓症とは

血栓症とは、主にふくらはぎの深部静脈に血栓(血液の塊)ができ、血管を詰まらせてしまう状態のことをいいます。その後、血液が戻れなくなり、ふくらはぎが腫れて痛みやむくみなどの症状が出ます。
放置すると、詰まって留まっている血栓が静脈内を流れて心臓まで到達し、肺の血管や脳の血管まで飛ぶと、肺梗塞や脳梗塞といった重篤な状況が生じる可能性があります。

血栓症は1年間に1万人がピルを服用すればそのうち9人、死亡する人に至っては10万人に1人の割合ですので、それほど確率が高いわけではありません。
血栓症には前ぶれがあることがほとんどですので、服用する方は、血栓症の初期症状とそのリスクが高まる状態について知っておきましょう。万が一ピルを服用中に下記のような症状が出てきたらすぐに服用を中止し、当院に相談していただくか、循環器内科や緊急外来などを受診していただくようお願いしております。

  • ふくらはぎの痛み、むくみ、しびれ感(ふくらはぎの症状は片側に起こることが多い)
  • 鈍い胸の痛み、突然の息切れ
  • 胸部の押しつぶされるような痛み
  • 激しい頭痛、めまい、失神
  • 視覚・言語障害(視野狭窄、舌のもつれなど)

血栓症になりやすい状況として、以下のものが挙げられます。

  • 長時間同じ姿勢で体を動かせない状態が続く
  • 水分不足で脱水の傾向がある
  • ストレスや疲労が溜まっている

これらは全て主に旅行中になりやすい状況であるため、長時間の移動の際は定期的に足を組み替える、水分をしっかりとる、疲れた時にはすぐに休憩をとるなどの行動を心がけましょう。

また、以下のような方は血栓症になりやすいため注意が必要です。場合によってはピルの処方をお断りする場合もありますのでご了承ください。

  • 40代以上の方
  • BMI30以上の肥満体型の方
  • たばこを吸う方

ピルを処方できないケース

ピルはほとんどの女性が服用可能ですが、血栓症などのリスクを考慮し、以下のような方には処方をしておりませんのでご了承ください。

  • 35歳以上で、1日15本以上タバコを吸う人
  • 前兆のある頭痛がある人
  • 高血圧・高脂血症の方
  • 乳がん・子宮頚がん・子宮体がんに罹っている方

そのほか症状や状況によっても、服用できなかったり、注意して服用する必要がある方もいらっしゃいますので、当院では服用前にチェックリストを書いていただいています。