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妊娠中のシミの増加や腰痛、便秘など、妊娠中に起こる体の様々な変化について解説

医療法人みらいグループ
不安そうな妊婦

妊娠すると、ホルモンバランスの変化から体に様々な変化が起こります。お腹の中の赤ちゃんが日に日に大きくなっていくことは喜ばしいことですが、体の変化や不調から不安を抱えてしまう妊婦さんも多いことでしょう。
この記事では、妊娠中に起こる体の変化と対策について解説します。

妊娠中に起こる11の変化

妊娠中はホルモンの分泌が活発になることで見た目に現れる変化や治療が必要になるようなトラブルなど、様々な変化を体にもたらします。
以下では、妊娠中に起こる11の変化について解説していきます。

  • シミが増える
  • 毛深くなる
  • 便秘になる
  • 痔になりやすくなる
  • 腰痛がある
  • 貧血になる
  • 頻尿になる
  • 足がつる(こむら返り)
  • 体のかゆみが出る
  • 虫歯ができやすくなる
  • おっぱいや外陰部が黒ずむ

1.シミが増える

シミを気にする女性
妊娠中にシミが増えると聞いたことがある方もいるでしょう。妊娠すると黄体ホルモンの分泌が増えます。黄体ホルモンは妊娠の維持に必要なホルモンですが、同時にメラニンの生成を促す働きがあると考えられています。そのため、妊娠中は色素沈着しやすく、シミやそばかすが増えることがあるのです。

シミ対策

外出時は日焼け止めをしっかりと塗り、帽子や衣類などで紫外線予防をしましょう。

2.毛深くなる

妊娠してから毛深くなったと感じる人もいるでしょう。妊娠してから体毛が濃くなる原因もホルモンバランスの変化により、メラニンが増えたことによります。
毛深く感じる理由は、メラニンが肌や毛の色素を濃くする働きがあるからです。体毛が濃くなるだけでなく、毛穴周囲の皮膚の色が濃くなるため、毛深く感じてしまいます。特にお腹は赤ちゃんを守ろうとするため、濃くなることが多いと言われています。
ホルモンバランスの変化によって起こる一時的なもので、出産後は気にならなくなりますので、心配しすぎないようにしましょう。

脱毛はNG

また、毛深くなったから脱毛したいと考える方もいるかもしれません。
レーザー脱毛や光脱毛による赤ちゃんへの影響ははっきりしていないこと、妊娠中は肌が敏感でトラブルが起きやすいため、脱毛は控えた方が安心でしょう。

3.便秘になる

妊娠によるホルモンの影響で腸の動きが弱まること、大きくなる子宮が腸を圧迫することから、妊娠中は便秘になる方が多いです。また、妊娠中は運動を控える人も多く、運動量が普段より減ることも便秘につながります。

便秘対策

  • 食物繊維の多い食事をとる
  • 医師から制限がない場合は適度に運動する
  • 決まった時間にトイレに行く

効果がない場合は医師へ相談

便秘対策をがんばったけれど、効果が出ないという人もいるでしょう。その場合は、医師に相談しましょう。便秘薬を使用し、お通じが出るようにコントロールします。薬に抵抗がある人もいるかもしれませんが、便秘が続くとお腹の張りの原因になるので、早めに対処が必要です。薬の種類はさまざまあるので、医師と相談してください。

4.痔になりやすくなる

大きくなった子宮に圧迫されて、直腸や肛門周辺にうっ血が起きるため、妊娠中は痔になりやすいです。また、便秘がさらに痔を悪化させます。
妊娠中、痔に悩まされる方は多くいますが、出産後は自然に軽快していく人がほとんどです。

痔の対策

  • 便秘を予防する
  • 肛門周囲を清潔にする
  • 体の冷えをさける
  • 長時間の立ち仕事や座りっぱなしの姿勢を避ける
  • 排便時にいきみすぎない
  • 排便時、長時間便座に座り続けない
  • 便意は我慢しない

痔の治療

妊娠中、症状によっては自然に経過をみることがあります。痛みがある場合や、腫れたり出血したりする場合は、座薬や軟膏を使用し、治療することもあります。
薬を使用しても効果がない場合や症状がひどい場合は、出産後手術をすることもあるので、肛門科へ相談しましょう。

5.腰痛がある

腰痛のため腰をさする妊婦
妊娠中は大きくなったお腹を支えるために、反るような姿勢になることや妊娠に伴う体重増加、リラキシンというホルモンが分泌され、骨盤まわりの靭帯がゆるむことから腰痛が起こりやすい状態です。

腰痛対策

  • 反り腰にならないよう、姿勢に気をつける
  • 適度に運動する

腰痛がひどい場合は?

軽度の腰痛であれば、骨盤ベルトの使用や姿勢の改善で症状が改善することがほとんどです。しかし、重度で歩行ができない場合や、寝返りができない場合などは腰椎椎間板ヘルニアなど、他の病気が原因の可能性があります。
そのため、医師の指示に従い、整形外科を受診し治療が必要になることがあります。

6.貧血になる

妊娠中は赤ちゃんに必要な鉄が胎盤を通して赤ちゃんの方に取り込まれること、体内では血液量を増やすために血液中の水分が増え、血液が薄まることから、生理的に貧血になりやすいです。

貧血の症状

立ちくらみやめまい、頭痛、息切れ、疲れやすさ、体のだるさなどがありますが、無症状の人もいます。

貧血による影響

貧血による影響は妊娠中から出産後まで続きます。
妊娠中は血液が薄くなり、酸素や栄養が赤ちゃんへ十分に届かないと、赤ちゃんの発育に影響が出る可能性があります。また、出産時貧血の場合、血を固める役割のある血液成分も少ないため、出血が増えやすくなるだけでなく、疲れやすさから陣痛が弱くなる可能性もあるでしょう。

妊娠中の貧血は赤ちゃんの発達にも影響が出ると言われていて、言葉の発達や精神・運動発達の遅れにつながることがわかってきています。

貧血予防・対策

  • 食事バランスのとれた食事をとる
  • 鉄分、葉酸の多い食事をとる
  • 鉄分と一緒にビタミンCをとる(ビタミンCは鉄分の吸収を促す)
  • 必要に応じて鉄剤や葉酸製剤を服用する

7.頻尿になる

妊娠中は大きくなった子宮が膀胱を圧迫するため、頻尿になる方がほとんどです。トイレに行くことをためらうと、膀胱炎になることがあるので、我慢せずこまめにトイレに行きましょう。

8.足がつる(こむら返り)

大きくなった子宮を支え、体のバランスをとることなどから、妊娠中はこむら返りを起こすことがあります。妊娠中の発症率は30〜50%で、妊娠中期〜後期にかけて夜に発症する傾向です。

こむら返りの対策

  • 寝るときに足を少し高くする
  • 長時間の立ち仕事を避ける
  • つった時は足の指を反らしたり、軽くふくらはぎ全体をマッサージしたりする

9.体のかゆみが出る

妊娠中は体のかゆみが出たり、発疹が出たりする方がいます。これを「妊娠性痒疹」といい、かゆみや赤み、ぶつぶつとした発疹が出て、手足を中心に背中やお腹まで広がることがあります。

妊娠3ヶ月ごろから症状が出る人が多く、中期ごろにおさまることもありますが、出産まで症状が続くことがあり、出産後は症状が軽減することが多いでしょう。
経産婦(2回目以降の妊娠)にみられることが多いですが、初産婦でも3割程度の人に症状が現れると言われています。
卵胞ホルモン(エストロゲン)の影響や、妊娠により皮膚が伸びること、体重増加など原因は諸説ありますが、はっきりとわかっていません。

治療はどうする?

ステロイドの塗り薬で治療をすることが多いですが、症状が強い場合や広がっている場合は、飲み薬を併用することもあります。

10.虫歯ができやすくなる

歯ブラシ、デンタルフロス、コップ、タオル
妊娠によって唾液の分泌量や性状が変化することや、つわりで歯磨きが不十分なことから、妊娠中は口内環境が悪くなりがちです。そのままにしておくと、歯周病や虫歯につながります。歯周病は早産や低出生体重児(赤ちゃんの生まれる体重が2500g未満)のリスクが高くなると言われているため、妊娠中から口腔ケアが大切です。

11.おっぱいや外陰部が黒ずむ

乳輪部や乳頭、外陰部や脇の下など妊娠してから黒ずんだように感じる方もいるでしょう。これは、黄体ホルモンの影響です。「シミやそばかすができやすい」と解説しましたが、同じ理由で、メラニンの生成を促す働きがあるため、色が濃く変化します。
乳頭や乳輪の色が濃く変化する理由は、赤ちゃんのためでもあります。生まれたての赤ちゃんは視力がまだよくなく、0.01〜0.02程度と言われていて、ぼんやりとしかまわりが見えていません。
そのため、乳頭や乳輪の色が肌と同じように薄い色だとおっぱいを吸うことが難しいので、妊娠中に色が濃くなり、赤ちゃんが見つけやすくなると考えられています。

まとめ

妊娠に伴う体の変化は多くあります。ホルモンバランスの変化により症状が出るものが多いですが、予防や対策できるものもあります。対処できるものは対処しながら、妊娠生活を過ごせるといいですね。

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この記事の監修
エナみらいグループ理事長 石渡 瑞穂
石渡 瑞穂
エナみらいグループ理事長
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