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妊娠中の三大マイナートラブル「むくみ・貧血・便秘」の原因と解消方法

医療法人みらいグループ
妊娠中の三大マイナートラブル「むくみ・貧血・便秘」の原因と解消方法

妊娠中のママの体の中では、赤ちゃんを育むためにさまざまな変化が起こります。そのため、普段なら起こらないマイナートラブルに悩まされることもあるでしょう。

この記事では、妊娠中のマイナートラブルについて紹介します。なかでも、特に多くのママに見られる「むくみ」「貧血」「便秘」の原因や解消方法も紹介しているので、参考にしてみてください。

妊娠中はマイナートラブルが起こりやすい

妊娠中はホルモンの変化や子宮で赤ちゃんが成長することに伴う体型の変化により、さまざまなマイナートラブルが起こります。

古い調査結果になってしまいますが、2009年に日本助産学会が発表した調査結果によると、妊娠中のマイナートラブルは複数の症状を併発することが多く、特に以下の症状を訴えるママが多くいました。

  • 頻尿
  • 疲れやすい
  • お腹を締め付けられる感覚
  • 眠気
  • 口の渇き
  • おりものの増加
  • 性欲の減退感
  • 便秘
  • イライラ

これらのマイナートラブルは妊娠の経過によってなくなるものもあれば、後期になるにつれて現れやすくなるものもあります。特に妊娠期間全体を通して多く見られる貧血や、妊娠後期に起こりやすいむくみなども代表的なマイナートラブルと言えるでしょう。

妊娠中は気軽に薬の服用ができないため、マイナートラブルの原因や解消法を知り、上手く付き合っていくことが大切です。

【妊娠時期別】起こりやすいマイナートラブル

妊娠中のマイナートラブルは、妊娠時期によっても現れやすさが異なります。続いては、妊娠初期、妊娠中期、妊娠後期それぞれに起こりやすいマイナートラブルの種類についてみていきましょう。

妊娠初期

妊娠初期に起こりやすいマイナートラブルには以下のものがあります。

  • つわり
  • 頻尿
  • 体の怠さ
  • 眠気
  • 便秘
  • イライラ感

妊娠初期は、ホルモンバランスが急激に変化するため心身共に負担が大きくなりやすいです。

特に、体の怠さや強烈な眠気を感じる人も多く、つわりによって食べられるものが少なくなると栄養バランスも偏ります。

これにより、貧血やむくみ症状がみられるママも多いです。また、口の渇きやおりものの増加に悩まされる人もいます。

妊娠中期

妊娠中期に起こりやすいマイナートラブルには以下のものがあります。

  • 便秘
  • お腹の締め付け感
  • 皮膚トラブル(痒み、乾燥)
  • 腰痛
  • 貧血

妊娠中期になるとつわりも落ち着いてくる人が多いです。しかし、お腹が大きくなることで身体的なトラブルも増えてくるでしょう。

徐々にお腹が大きくなることにより、服や下着の締め付けを強く感じてしまうことや、肌トラブルなども多く聞かれます。

また、妊娠中期はホルモンの影響によって最も便秘の症状が出やすく、お腹が大きくなったことで立っている時のバランスが悪くなるため腰痛などを引き起こすケースもあります。

妊娠後期

妊娠後期に起こりやすいマイナートラブルには以下のものがあります。

  • 腰痛
  • 便秘
  • こむら返り(足が攣る)
  • むくみ
  • 胸やけ
  • イライラ感

妊娠後期になると赤ちゃんも大きく育って、子宮もサイズアップします。それにより、腰や腸への負担のほか、胃が押し上げられて胸やけを感じるママも少なくありません。

また、血流が悪くなることでむくみやこむら返りの症状も出やすくなります。

むくみ・貧血・便秘は妊娠全期間で起こりやすいマイナートラブル

マイナートラブルのなかでも、妊娠期間の全体を通して起こりやすい症状がむくみ、貧血、便秘の3つです。

特に貧血や便秘は、他のマイナートラブルを引き起こす要因にもなるため、予防や早めの対処を行いましょう。

妊娠中に起こるむくみの原因と解消方法

手足や顔などが膨張し、特有の怠さや不快感を伴うむくみ。妊娠中は特にむくみが起きやすい傾向にあります。

妊娠中にむくみが起きる原因と解消方法についてみていきましょう。

原因

むくみは、体内の水分バランスが崩れることが原因で起こる症状です。本来、細胞の隙間を巡って栄養供給や老廃物の排除を担っている水分が、血流の滞りによって適切に循環しないことでむくみが起きます。

妊娠中は大きくなる子宮によって血管が圧迫されやすく血流が滞りがちです。また、むくみは塩分の取り過ぎや運動不足、ストレスなどが引き金となって起こることもあります。

まだ、お腹の小さな妊娠初期でも、つわりによって食べられるものが限られてしまうと塩分過多によってむくみがでやすくなってしまうことがあります。

解消方法

むくみは心臓から遠い部分で起こりやすい傾向にあります。特に下肢は心臓から遠く、重力も影響して血流が滞りやすくむくみがおきやすい場所です。

赤ちゃんが大きくなって子宮部分で血管が圧迫されると、より下肢の血流が滞りやすくなるでしょう。

妊娠中のむくみの解消には以下の方法がおすすめです。

  • 長時間立ちっぱなしにならないようにする
  • 下肢にむくみが出たら、なるべく足を高い位置に上げて休む
  • 足のマッサージや軽いウォーキングなどで血流を整える
  • 着圧ソックスを着用する
  • 湯舟に浸かる
  • 塩分の排出を促すカリウムを多く含む食品(バナナ、メロン、ほうれん草、アボカドなど)を摂る
  • 締め付けの少ない衣類や下着を選ぶ

特に妊娠中は、日々お腹が大きくなり、バストもサイズアップする人が多いです。妊娠前と同じ下着を着用していることで、知らず知らずのうちに下着による締め付けによって血流が悪くなっているケースも少なくありません。

妊娠初期や中期でも、早めにマタニティブラやマタニティショーツに切り替えて過ごしておくのもよいでしょう。

妊娠中に起こる貧血の原因と解消法

妊娠中は貧血を訴えるママも少なくありません。眩暈や立ちくらみ、体のだるさ、眠気、無気力など、他のマイナートラブルの原因が貧血である場合も多くあります。

特に女性は貧血になりやすく、貧血の症状に気付いても「これ位なら大丈夫かな」と軽視しがちです。妊娠中は、赤ちゃんに充分な酸素や栄養を届けるためにも健康な血液の循環が欠かせません。

貧血症状が出る前から、充分に対策をし、貧血症状が出ても重症化させないことが大切です。

原因

妊娠中は、体内の血液でママと赤ちゃん2人分の酸素や栄養を循環させる必要があります。そのために、妊娠期間中のママの体内では、血液量が通常時の1.5倍に増加します。

このとき、血液をサラサラにする血漿(けっしょう)という成分が多くなり、酸素や栄養を運ぶ赤血球が足りなくなることで、血液がたくさんあるにも関わらず貧血の症状が現れてしまいます。

血液量が増えても、ママと赤ちゃん二人分の酸素や栄養を供給できる赤血球量が確保されなければ貧血としてさまざまな症状が出てしまうのです。

妊婦の貧血は、早産や低体重児出産などを引き起こす可能性があります。妊娠初期から、しっかりと貧血対策をしておきましょう。

解消方法

妊娠中の貧血は大きく分けて鉄欠乏性貧血と葉酸欠乏性貧血に分けられ、鉄もしくは葉酸の不足が原因と考えられます。

特に妊娠初期には赤ちゃんの健全な成長のためにも葉酸の充分な摂取が推奨されます。妊娠が分かった際には、鉄分と葉酸を意識的に摂取するようにしましょう。

鉄分や葉酸を多く含む食品には以下のものがあります。

鉄分を多く含む食品

鉄分を多く含む食品

ヘム鉄 豚レバー、鶏レバー、牛もも赤肉、しじみ、あさり、かつおなど
非ヘム鉄 ほうれん草、小松菜、ひじき、大豆、油揚げ、卵黄など

 

葉酸を多く含む食品

葉酸を多く含む食品

葉酸 鶏レバー、アスパラガス、ブロッコリー、モロヘイヤ、ほうれん草、枝豆、いちごなど

鉄分にはヘム鉄と非ヘム鉄があり、ヘム鉄の方が吸収率が高いです。また、以下の食品と組み合わせることで、鉄分の吸収率を上げることもできます。

  • 動物性たんぱく質
  • ビタミンC
  • クエン酸

レバー類は妊娠初期に過剰摂取すると赤ちゃんの器官形成に影響する恐れがあるので少量ずつ接種するように気をつけましょう。
日本産婦人科医会では、牛レバーなら1日30g程度、鶏や豚レバーなら週に1〜2回30g程度が目安としています。
参考:日本産婦人科医会 女性の健康Q&A

日々の食事で充分な栄養を摂れるように配慮し、貧血を予防しましょう。

妊娠中に起こる便秘の原因と解消法

妊娠中に起こる便秘の原因と解消法
妊娠中は便秘になる要因がたくさん起こります。重篤な便秘症状が出ると、不快感や腹痛だけでなく、腸が動かないことで骨盤や子宮付近の血の巡りが悪くなることもあります。

特に、妊娠前から便秘になりやすかった人は、症状が重くなるケースも多く聞かれます。便秘が長期化すると痔や直腸脱を引き起こすリスクもあるため、どうしても改善されないなら医師に相談することも大切です。

原因

妊娠中には、女性ホルモンの一種であるプロゲステロンの働きにより腸が動きにくくなってしまいます。これによって起こるのが便秘です。

プロゲステロンは妊娠中期に多く分泌されるため、中期以降は特に便秘対策が必要でしょう。

解消方法

妊娠中の便秘解消には以下の方法がおすすめです。

  • しっかりと朝食を摂る
  • 朝一番に冷たい飲み物を飲む
  • 食物繊維を多く含む食品(海藻、野菜、きのこ類など)を摂る
  • 乳酸菌を多く含む食品(乳製品、根菜、いも類など)を摂る
  • 決まった時間にトイレに座って排便習慣を作る
  • 適度に運動する

食物繊維には、便の量を増やす不溶性食物繊維と、便を柔らかくする水溶性食物繊維の2種類があります。便秘の解消には水溶性食物繊維を多く摂取するとよいでしょう。

水溶性食物繊維を多く含む食品

アボカド、オクラ、ごぼう、わかめ、ひじき、こんにゃく、キウイなど

そのほか、ウォーキングなど軽い運動を取り入れて腸をしっかり動かすことも大切です。

その他のマイナートラブルの解消方法

むくみや貧血、便秘以外にもマイナートラブルにはさまざまな種類があります。妊娠時期や個人差も大きいですが、「妊娠中だから仕方ない」と諦めるのではなく、症状が軽い内に対処することが大切です。

最後に、その他のマイナートラブルに関する原因や解消方法についても紹介していきます。

体の冷え

妊娠中はホルモンバランスが乱れて体温調整がしにくく、姿勢が悪くなることや子宮の圧迫によって血流の乱れから体が冷えやすくなります。

適度な運動や衣類による保温、冷たい飲み物や食べ物を避けるなどの方法で、冷え対策をしましょう。

眠気や体の怠さ

妊娠中は、赤ちゃんの成長にエネルギーを使っている他、ホルモンの影響によって倦怠感や眠気を感じやすい傾向にあります。これは、体からの休憩を求めるサインでもあるため、眠気や倦怠感、疲労感などを感じた場合には、適度に急速を取ることが大切です。

また、貧血が原因でこれらの症状が出ている場合もあります。休息を取ったり食生活を見直したりしても、あまりに症状が酷い場合には医師に相談してみてください。

頻尿や尿漏れ

大きくなった子宮で膀胱が圧迫され、頻尿や尿漏れを起こすこともあります。

睡眠の妨げにならないよう就寝前などは水分を控え、日中は頻繁にトイレにいって対応するのがよいでしょう。尿漏れにはパンティライナーなどを使用するのがおすすめです。

トイレを我慢すると症状が悪化し、膀胱炎を発症することもあります。また、排尿時の痛みや残尿感も膀胱炎の症状なので、心当たりがある場合には医師に相談してください。

おりものの増加

妊娠中はホルモンの影響によっておりものが増加することがあります。

妊娠中は特に衛生的に保つ必要があるため、おりものが多い場合にはパンティライナーを使い、通気性のよい下着を選ぶなどの対策をしましょう。おりものが多いからといって洗い過ぎると、自浄作用が失われてしまうため注意が必要です。

おりものに悪臭がある場合や痒みが起こる場合、膣炎を起こしている可能性もあるため医師に相談してください。

こむら返り(足が攣る)

妊娠の経過に伴い、大きなお腹を支えるために気付かない内に無理な体勢になることも多いです。特に妊娠後期では、足に負担がかかりこむら返りを起こす人も少なくありません。

お風呂に浸かってマッサージをしたり、小まめに休息をとって疲労を蓄積させないことが大切です。

まとめ

妊娠中のマイナートラブルについて紹介してきました。特に起こりやすいむくみ、貧血、便秘は、妊娠初期から予防を続けるのがよいでしょう。

今回紹介した方法でも、症状が改善されないのであれば医師に相談することも大切です。妊娠期間を快適に過ごせるよう、マイナートラブルの原因を理解して対処してみてください。

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この記事の監修
エナみらいグループ理事長 石渡 瑞穂
石渡 瑞穂
エナみらいグループ理事長
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