
妊娠中の人にとって、赤ちゃんの誕生後を想像するのはとても楽しい時間ですよね。なかでも、男の子が生まれてくるのか、女の子が生まれてくるのか、性別について考える時はさまざまな期待感やワクワクした気持ちを感じることでしょう。
赤ちゃんの性別は妊婦健診のなかで判別できるため、場合によっては生まれてくる赤ちゃんの性別を教えてもらうこともできます。
この記事では、赤ちゃんの性別の調べ方や男の子、女の子によって異なる性別が分かる時期、判定の精度などを解説します。合わせて、迷信などを含めた赤ちゃんの性別に関する疑問やベビーナブ、ジェンダーリビールについても紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
赤ちゃんの性別はどうやって調べるの?
赤ちゃんの性別は、妊婦健診でエコー検査(超音波検査)を行った際に判明することが多いです。
エコー検査を行う際に、赤ちゃんの性器が確認できると性別が分かります。
ただし、医療機関で行う妊婦健診は、性別を判定することが目的ではありません。主な目的は、赤ちゃんが正常に成長しているかを調べることです。
赤ちゃんの性別が分かるのは、あくまで赤ちゃんの成長状態を確認する過程で得られる付加的な情報です。そのため、医療機関によっては、ママが希望しない限り、性別を告知しないこともあります。
赤ちゃんの性別が分かる時期
赤ちゃんの性別は、およそ12週頃から外性器が形成され始めます。しかし、12週で性別が判断できるケースは非常に稀でしょう。また、赤ちゃんの向きや体勢によっては、性器が確認しづらい場合もあります。
エコー検査では、お尻の下からの様子が見えると、性別を判別しやすくなることが多いです。
また、男の子と女の子では性別が分かる時期が異なります。続いて、男の子と女の子それぞれに性別が分かる一般的な時期を紹介します。
男の子の場合
男の子の場合、外性器が突起状に見えてくることで女の子よりも早い時期に性別を確認できるケースが多いです。
一般的には妊娠14~15週頃には性別が分かると言われています。
女の子の場合
女の子の場合、外性器が確認しにくいため男の子に比べると性別が分かる時期は遅い傾向にあります。一般的には妊娠17~18週頃に確認できることが多いです。
外性器が木の葉のように見え、割れ目が確認できた段階で女の子と判別できます。
当院では、赤ちゃんの性別は20週前後の妊婦健診で、ご希望に合わせてお答えしています。
赤ちゃんの性別判定の精度は?
赤ちゃんの性別判定については、現代では高い確率で正確な性別を判定できると考えられています。もちろん、人が判定するため100%正確であるとは言えませんが、医療技術や医療機器の向上により、昔に比べれば高い精度で判別が可能です。
また、医師は性別の判定を外性器のみで行っているわけではありません。陰嚢や精巣、子宮など、赤ちゃんの性別に合わせた器官が正常に形成され、成長しているのかを検査しているため、十分に状態が確認できる段階で性別の判定を誤ることは極めて稀です。
欧米の早期性別判定方法「ベビーナブ」とは
ベビーナブとは、欧米で行われる性別判定方法です。ベビーナブを用いれば妊娠10週頃から性別が判別できると言われ、SNSを中心に話題になっています。
ベビーナブの判定方法
ベビーナブは赤ちゃんの成長段階で、生殖結節と呼ばれる部位を確認して男の子か女の子かを調べる判別方法です。生殖結節は成長に伴い、陰茎 (ペニス)や陰核 (クリトリス)に変化していきます。
赤ちゃんの横向きのエコー画像において背骨に対して突起が30度以上立ち上がっている場合は男の子、背骨に対してほぼ平行に突起がある場合は女の子と判別します。
ベビーナブは、妊娠10週から13週頃の超音波検査で行うと良いとされていますが、特に10~11週頃は突起が未発達で性別判定が難しいことが多いです。13週以降になると、突起がはっきりと見えるようになり、判定の精度が高くなると言われています。ただし、赤ちゃんの発育には個人差があり、場合によっては性別が見分けにくいこともあります。
日本でベビーナブを行う医療機関は極わずか
ベビーナブは欧米を中心に広く行われている早期性別判定方法ですが、医学会などで認められていません。また、撮影するエコー画像の角度によって突起の角度も違って見えるため、ベビーナブで判定するためのエコー写真を撮影する必要があります。
日本の医療機関では、妊婦健診は妊婦と胎児の健康を守るために行われ、その診療費は公費で負担されています。そのため、性別判定のためだけにエコー撮影を行う医師は少ない傾向にあります。
性別が分かるのは、あくまで赤ちゃんが正常に成長していることを確認する過程で得られる付加的な情報であるため、日本でベビーナブを実施する医療機関がほとんどない理由と言えるでしょう。
赤ちゃんの性別を知りたい?知りたくない?
赤ちゃんの性別については、体のさまざまな器官が成長していることで分かる付加的な情報だと紹介しましたが、それでも男の子か女の子か早く知りたいという人は多いですよね。
一方で、出産まで赤ちゃんの性別を知りたくないという人もいます。
続いては、赤ちゃんの性別を知りたい派の意見、知りたくない派の意見をみていきましょう。妊娠中の方は、赤ちゃんの性別を聞くか聞かないか決める参考にしてみてください。
知りたい派の意見
赤ちゃんの性別を知りたい派の意見には以下のようなものがありました。
- 性別に合ったカラーのベビー用品を選びたいから
- 名前を決める参考にしたいから
- 「男の子がいい」「女の子がいい」などの希望があるから
特に、上の子どもがすでにいるママの場合「できれば次は(男の子or女の子)がいい」という気持ちがあり、早く性別を知りたいと考えるケースが多いようです。「希望と違っても生まれてくれば可愛い我が子。でも、早く知りたくて聞いてしまう」というママが多く、結果的にどっちでも良いけれど、期待している結果だとより嬉しいという感覚で性別判定を希望しているママも少なくありません。
知りたくない派の意見
赤ちゃんの性別を知りたくない派の意見には以下のようなものがありました。
- 男の子でも女の子でも、どちらでもいいから
- 希望通りじゃなかった場合に残念に思いたくないから
- 出産の際に確認するのが楽しみだから
近年、ジェンダーレスな名前も一般的になってきており、出産準備や名前の候補を考える際に性別を基準にしないケースも増えてきています。そのため、性別の希望がなく妊娠中に赤ちゃんの性別を知らなくてもいいと考えるママも多いです。
また、性別に希望があるママの場合、「赤ちゃんに対して(男の子or女の子)が良かったのに…」と思ってしまいたくないという意見や、上の子と同じ性別だった場合に周囲の人から「また(男の子or女の子)なの?」と言われる事が嫌だから、という意見もありました。
赤ちゃんの性別に関する疑問
赤ちゃんの性別に関しては、昔からさまざまなジンクスや言い伝えがあります。しかし、医療の進化で赤ちゃんの性別について新たな発見があったり、ジンクスや言い伝えに信憑性がない事が判明したりもしています。
続いては、赤ちゃんの性別に関するさまざまな疑問についてみていきましょう。
赤ちゃんの性別はいつ決まるの?
赤ちゃんの性別は、卵子と精子が出会い受精した時にはすでに決まっています。
染色体の組み合わせがXYの場合は男の子、XXの場合は女の子です。
卵子はもともとX染色体を持っており、Y染色体もしくはX染色体を持つ精子と受精することで性別が決定します。つまり、男の子か女の子かは、1億近い精子のなかから、どの精子が卵子に辿り着くのかによって決まるということです。
なるべく早く赤ちゃんの性別を知る方法はある?
エコー検査による性別判定以外にも、以下の検査を行った際に赤ちゃんの性別を判定できます。
- 羊水検査
- 絨毛検査
- 新型出生前診断
これらの検査では、早い段階でほぼ100%に近い確率で性別を判定できます。しかし、検査の目的としては染色体異常や遺伝子疾患の有無を調べるために行うため、検査によっては母体や胎児にリスクが発生するものもあります。
費用も数万から数十万かかるため、性別を判定するためにこれらの検査を行う例はほぼありません。
性別に関するジンクスや言い伝えは本当に当たっているの?
古くから「〇〇なら男の子」「〇〇なら女の子」といった、妊娠中の赤ちゃんの性別を判断する言い伝えは数多くあります。しかし、これらの内容は医学的な証明をできないものがほとんどです。
赤ちゃんの性別と胎動の激しさは関係ある?
赤ちゃんの性別と胎動の激しさは無関係です。
昔から「胎動が激しいと男の子」「胎動が穏やかだと女の子」という言い伝えがありますが、医学的には無関係とされています。
また「胎動が激しい子はやんちゃな性格」「胎動が少ない子は大人しい性格」というのも、医学的な証拠のない言い伝えです。
胎動は羊水が少ないと感じやすかったり、ママの皮下脂肪が少なかったりする場合にも感じやすくなります。
赤ちゃんの性別によってお腹の出方が変わる?
よく「お腹が前に張り出していると男の子」「お腹が横に膨らんでいると女の子」と言う人もいます。しかし、お腹の出方と赤ちゃんの性別は、医学的に無関係とされています。
お腹の出方はママの骨盤の形や大きさに影響を受けているケースが多く、骨盤が広いと赤ちゃんが骨盤内にすっぽりと収まり比較的横に広がりやすい傾向にあります。反対に骨盤の小さなママの場合、赤ちゃんの性別に関わらずお腹が前に張りだしやすい傾向にあります。
赤ちゃんの性別でつわりの酷さは変わる?
つわりによる性別の違いも古くからジンクスとして伝えられてきました。「つわりが酷いと男の子」「つわりが軽いと女の子」との言い伝えも有名ですが、これについても医学的な根拠はありません。
つわりが起こるメカニズムは長年研究されてきましたが、2023年に発表された論文ではGDF15というホルモンがつわりに関係している可能性が高いことが示唆されています。GDF15は胎児(胎盤)が生成する成長因子の一種であり、胎盤から母体へと移行することで体内のGDF15値が増加し、つわりが重症化していくのではないかと言われています。
現状では、胎児の性差に関するホルモン分泌量の違いについては証明されておらず、つわり症状の重さと赤ちゃんの性別を関連付けることはできないでしょう。
参考:Nature|GDF15 linked to maternal risk of nausea and vomiting during pregnancy
赤ちゃんの性別でママの顔つきは変わる?
「ママの顔つきがキリっとしてくると男の子」「ママの顔つきが穏やかだと女の子」という言い伝えも古くから聞かれますが、これについても医学的な根拠は全くありません。
海外で話題の「ジェンダーリビール」とは
近年、海外で行われる「ジェンダーリビール」という風習が日本にも伝わり、SNSを中心に妊娠中のママの間で話題になっています。
赤ちゃんの性別をサプライズ発表する風習
ジェンダーリビールとは、海外で妊娠中のママが家族や友人に赤ちゃんの性別を発表する風習です。性別を伝える際にはさまざまな趣向を凝らして、サプライズ的に発表するのが一般的となっており「面白そう!」「やってみたい」と真似する日本人ママも増えています。
話題のジェンダーリビールアイデア
ジェンダーリビールを楽しんでいる人は、さまざまなアイデアで家族や友人にお腹の赤ちゃんの性別を発表しています。最後に、さまざまなジェンダーリビールのアイデアを紹介します。
ジェンダーリビールケーキ
海外のジェンダーリビールでよく見られるケーキを使ったアイデアです。ホールケーキをカットすると、男の子なら中からブルーベリー、女の子なら中からイチゴが出てくるようにしているケースが多く見られます。
事前に、「男の子ならブルーベリー、女の子ならイチゴ」などと明記したチョコプレートなどをデコレーションしておくとよいですね。日本でもジェンダーリビールを行う人が徐々に増えていることから、ジェンダーリビールケーキを受注・販売しているケーキ屋さんなどもあります。
ジェンダーリビールボックス
こちらも海外のジェンダーリビールでよく見られるアイデアです。ボックスのなかに、赤ちゃんの性別に関連するカラーのベビーグッズを入れて性別を発表します。
ボックスを開けるワクワク感が楽しめるほか、中に入っている可愛らしいベビーウェアやベビーシューズを手に取ることでこれから赤ちゃんが生まれてくることを実感できると人気です。
ジェンダーリビールおにぎり
日本ならではのジェンダーリビールアイデアとして話題になっているのが、おにぎりを使った演出です。「男の子なら【おかか】、女の子なら【梅干し】」のように、性別ごとの具材を知らせておいて、おにぎりを食べると性別が分かるというアイデア。
甘いものが苦手な人や変わったジェンダーリビールを楽しみたい人に人気です。
ジェンダーリビールバルーン
中身の透けない風船を割ると、性別を表す小さなバルーンやコンフェッティ(細かくカットした色紙など)が出るアイデアです。派手な演出で楽しめる他、皆が一目で赤ちゃんの性別を理解できるため、パーティーなどでジェンダーリビールをしたい人にぴったりでしょう。
通販などでも、さまざまなジェンダーリビールバルーンが販売されています。
まとめ
赤ちゃんの性別は受精卵の時点で決まりますが、ママや家族が知ることができるのは、早くても妊娠14~18週頃です。それまでに、家族と相談して性別を聞くのか聞かないのか決めておくのがおすすめです。
性別を先に聞く楽しみもあれば、生まれてから知る楽しみもありますので、どちらが良いかを自分たちの希望に合わせて主治医に伝えておくと良いでしょう。
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