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LDRとは?分娩室との違いや出産の流れをご紹介

医療法人みらいグループ
LDRとは?分娩室との違いや出産の流れをご紹介

当院では出産時にLDR室を使用しておりますが、どういったお部屋かご存知でしょうか。近年ではLDRを取り入れている出産施設も多くなっていますが、LDRは妊婦の体の負担を最小限に抑えて理想の出産を安全に行うためのお部屋です。

この記事では、LDRでの出産の流れ、過ごし方などを紹介しています。なるべくリラックスして出産したいと考えている人や、立ち会い出産を希望している人は、ぜひ参考にしてみてください。

LDRとは

LDRとは~一般的な分娩室との違い~
LDRとは、陣痛から分娩、産後の回復までを行う部屋です。
Labor(陣痛)、Delivery(分娩)、Recovery(回復)の頭文字をとってLDRと呼ばれています。

LDRは一見、入院用の個室と同じです。しかし、部屋のなかには自然分娩に必要な機器が揃っており、ベッドは分娩台に変形するものが設置されており、陣痛から分娩後までの時間を快適に過ごせるように配慮されたお部屋です。

分娩室とLDR、両方での出産を体験した先輩ママのなかには「次にまた出産するならLDRを選びたい」という人も多くいます。

移動の負担を抑えられる

一般的には、陣痛の始まりから子宮口がある程度開くまでの時間を過ごす陣痛室と、分娩を行う分娩室に分かれています。赤ちゃんがいよいよ生まれる時期になったら陣痛室より移動しますが、LDRはその辛い時の移動がないのがメリットです。

初産を迎える人の場合、出産時にとても驚かれるのが「陣痛中に自力で分娩室まで移動する」ということです。陣痛の痛みに耐え、子宮口が大きく開いた後に「分娩室まで移動して分娩台に上がる」という大きな壁が立ちはだかります。

場合によっては車椅子などを使うこともありますが、結局は自らの力で分娩に上がる必要があるのは同じです。

陣痛室から分娩室への移動は妊婦にとっての負担も大きく、「分娩室に移動するときが一番辛かった」という先輩ママもいます。

LDRに設置しているベッドは、そのまま分娩台に変形するタイプです。そのため、子宮口が最大に開けば移動することなく分娩に移ることができます。

また、産後は胎盤を娩出してから2時間ほど妊婦の容態を注意深く観察する必要があります。分娩室で出産した場合は、分娩台でそのまま安静に過ごしたり、次のお産が迫っている場合は病室などに移動する場合もあるでしょう。

LDRは産後もそのまま同じベッドで経過観察を行います。移動の負担を徹底的に抑えることができる点はLDRにおける最大のメリットです。

立ち合い出産がしやすい

立ち合い出産がしやすい

LDRを選ぶ人には特に多いのが立ち会い出産が多いです。

一般的に立ち会い出産では、立会人も妊婦と共に移動します。そのため、原則として立ち会えるのは1人に限定している産院が多く、医療機器が並ぶ分娩室の様子に物怖じしてしまうという声も少なくありません。

LDRは一般病室に似た部屋で陣痛から分娩後まで付き添いが可能です。また、LDRでは個室を活かして小さなお子さんを含む家族の立ち会い出産を行っていることもあります。

長時間にわたるお産を家族とリラックスして過ごし、赤ちゃんを家族全員で迎えたいという人にとってLDRは最適な環境と言えるでしょう。

ただし、現在は感染症対策として立ち会い出産を制限していることも多いため、事前に産院に確認しておくのがおすすめです。

個室だから周りが気になりにくい

LDRは基本的に個室です。そのため周りの人の動きなどが気になりにくくリラックスしやすい環境で出産できます。落ち着いた個室内ですべて完結するため、周りの声や人の気配などを気にせず出産に集中できます。

理想のお産を実現しやすい

出産は、ママと赤ちゃんにとって大切なものです。どのように産みたいかを考え、理想を叶えることは出産後のママの精神的な安定にも繋がります。

出産の時にかけたい音楽がある、陣痛中は好きな香りのアロマを焚きたい、赤ちゃんが産まれたら直ぐに夫に抱いて欲しい、部屋の暗さや温度を調整したいなど、ママの数だけ理想のお産があります。これらの希望に応える際、個室というプライベート空間で出産できるLDRは理想的な環境と言えるでしょう。

プライベート空間で過ごせるため香りや音を好みのものにしても周りに影響がなく、産後も赤ちゃんとママの健康に影響しないことであれば希望を叶えられるケースが多いです。

自由な体勢で出産するアクティブバースを希望している人にも、LDRがおすすめです。

LDRでの出産の流れ

LDRでの出産の流れは、初産・経産の方でも違いますし、時と場合によっても異なります。
今回は陣痛から始まった場合の一例をご紹介します。

例)陣痛よりはじまった場合

  1. 規則的陣痛になり電話をし来院
  2. 医師や助産師が診察し入院(当院は助産師の方が多いです)
  3. 経過をみる。入院時に進みがよければLDRへ(初産・経産でも違う)
  4. 【経産婦】子宮口が全開大近くになったら分娩体位
    【初産婦】全開大になっていきみ、赤ちゃんの頭が少し見えてきたら分娩体位
  5. 分娩となる。へその緒を切り、ママと対面
  6. 胎盤が出て、医師の処置(会陰縫合)
  7. 初回の授乳などを行い、2時間程はLDRで様子をみる
  8. 産後のお部屋へ移動

出産直後、赤ちゃんはへその緒の処置や計測などを行い、問題がなければママの処置が終わる頃に初乳やカンガルーケアなどをしながら一緒に過ごすケースも多いです。

産院によって流れが多少異なることもあるため、事前に確認しておくと安心です。

コロナ禍を過ごした先輩ママはLDRでこんな過ごし方も

LDRの魅力や出産の流れが分かり、「自分も出産するならLDRで」と考える人も少なくないでしょう。

実際に、LDRで出産した先輩ママのなかにはこんな過ごし方をした人もいました。

  • コロナ禍で立ち会い出産ができなかったから、電話を繋げっぱなしにして出産した。声が聞こえるだけでも安心できた。
  • 出産後は退院まで親に赤ちゃんの顔を見せられないから、カンガルーケアをした後テレビ電話で赤ちゃんのお顔を見せた。

感染症の流行によって面会に制限などが出たなかで出産に挑んだ先輩ママ達にとって、個室で誰にも気兼ねなく電話ができる点が特にLDRが支持された理由だったようです。

まとめ

妊婦がリラックスできる環境に配慮したLDRについて紹介しました。理想のお産を叶えられる環境で、新しい命の誕生を迎えましょう。

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この記事の監修
エナみらいグループ理事長 石渡 瑞穂
石渡 瑞穂
エナみらいグループ理事長
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