エコー検査(超音波検査)は、妊娠中のお腹のなかで赤ちゃんがどのように過ごしているのか知ることができる唯一の手段です。妊娠中のママのなかには、エコー検査を楽しみにしている人も少なくないでしょう。
そんなエコー検査ですが、医療機器の発達によって2Dや3D、4Dなどさまざまな種類があります。今回は、最新の4Dエコーについて紹介します。4Dエコーのメリットや検査を行う時期など詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
エコー検査(超音波検査)とは
エコー検査は超音波の反響を利用して、胎内の赤ちゃんの発育を測定する検査です。妊娠中に赤ちゃんの状態を目視で確認できる唯一の検査であり、痛みやリスクもなく発育状態の診断ができます。
エコー検査で分かること
エコー検査では以下の項目を調べることができます。
- 体幹周囲長(AC)…お腹周りの長さ
- 妊娠期間(AGEまたはGA)…〇w△dとして表示され〇週△日目と読む
- 体幹前後経(APTD)…お腹の厚みの長さ
- 頭大横経(BPD)…頭の横幅の長さ
- 胎児頭殿長(CRL)…頭からお尻までの長さ
- 体幹横経(TTD)…お腹の横幅の長さ
- 大腿骨長(FL)…太腿部分の骨の長さ
- 標準偏差(SD)…平均的な発育との差
これらの項目を平均的な数値と比較することで、赤ちゃんの発達に問題がないか判断します。
エコーは赤ちゃんに影響なく行える超音波検査
妊娠中は目に見えないリスクにも気を付けるべきです。特に、レントゲン検査やCT検査はお腹の赤ちゃんに悪影響を及ぼすとして、原則として妊婦への使用は控えられています。(歯などの部分的なレントゲン検査であれば問題ないと言われています)
そのため、同じく目に見えない超音波検査についても「赤ちゃんに影響はないの?」と心配されるママが少なくありません。
超音波エコーはこれまで約50年以上胎児の発育検査として使用されており、安全性も確認されています。超音波を当てたからといって細胞組織などに影響を与えることはないため、安心してエコー検査を受けてください。
4Dエコーとは
エコー検査機のなかでも、最新の機器が4Dエコーです。4DエコーのDとは「Dimension(次元)」を意味しており、縦軸、横軸、奥行、時間の4つの次元を可視化できます。
これら4つの次元を映像とすることで、赤ちゃんを肉眼で見るように姿形を捉え、尚かつリアルタイムで動く様子も確認できるのが4Dエコーの魅力です。
お腹の赤ちゃんの様子を立体的にリアルタイムで見ることができるので、表情、あくび、指しゃぶり、まばたきしている様子や手足の動きなど、お腹の中で赤ちゃんがどのように過ごしているかがわかります。
2Dエコーとの違い
2Dエコーは縦軸と横軸を映像化したもので、胎児の写真を撮って静止画で確認します。奥行きがない分、体の内部まで確認できるため、骨や内臓などの発育を確認することに長けているエコーです。
一般的にエコー検査は2Dで行われますので白黒のエコー写真がもらえますが、表情などは分かりません。
3Dエコーとの違い
3Dエコーは、縦軸、横軸、奥行を可視化したもので、4Dと違いリアルタイムで動く様子は確認できません。つまり、動くものが4D、動かないものが3Dとなり、静止画として見える映像は同じです。
簡単にまとめると、
3D:立体
2D:平面
になります。
4Dエコーのメリット・デメリット
続いて、4Dエコーのメリットやデメリットについても見ていきましょう。
メリット
4Dエコーのメリットとして、妊娠中から親子の愛着を育める点が挙げられます。
妊娠中のママはつわりなどで体調の変化が起こり、胎動で赤ちゃんの存在を感じて出産までに愛着を抱くことが多いです。
一方で、パパは自分自身に変化がないため、妊娠中のママと比較すると出産するまで赤ちゃんへの愛着を抱きにくいと言えます。
4Dエコーで、実際に顔立ちや動いている仕草などを見ることで、パパとして赤ちゃんに愛着を持つ効果も期待できるでしょう。また、ママにとっても、赤ちゃんの表情などを確認することで、妊娠している実感をより強く持てるメリットもあります。
デメリット
4Dエコーは、赤ちゃんの表面的な成長しか見ることができないため、それだけでは正常に発育しているか判断できません。
赤ちゃんの発育に関する項目は2Dエコーで検査する必要があるため、4Dエコーだけで赤ちゃんが正常に成長しているかどうかは診断できないのです。
当院では2Dエコーと4Dエコー組み合わせて行っていますので、発育状況も合わせて確認できます。
4Dエコーを行う時期
4Dエコーが観察しやすくなる妊娠12週くらいから行えますが、妊娠22週~25週頃だと赤ちゃんの全身を見ることができます。
25週以降になると赤ちゃんが大きく成長してエコーの画面には収まらなくなってきますが、表情やしぐさが見やすい時期です。
30週を超えると赤ちゃんが一気に発育して、表情や仕草などは見えづらくなってきます。
ただし、どの時期も赤ちゃんの向きや位置などタイミングによっては見えにくいことがあります。
4Dエコーで確認できること・できないこと
4Dエコーは最新の超音波検査技術ですが万能ではありません。4Dエコーでは何ができて、何ができないのかを事前に確認しておきましょう。
顔立ちが確認できる
4Dエコーは赤ちゃんの顔立ちまで映し出せるため、どのようなお顔をしているのか見ることができます。ママに似ていたり、パパに似ていたりと、映像や仕草のなかに親子としての絆を感じられるでしょう。
多くのママやパパが産まれてきた赤ちゃんを見て、「4Dエコーで見た時の顔と同じだ」と思うそうです。それほど、鮮明にお顔立ちが見られるということですね。
性別が確認できる
赤ちゃんの角度によっては、性器を確認して性別が分かることもあります。しかし、ここで確認できた内容は、必ずしも正確とは限りません。
出産後、4Dエコーで確認された性別ではなかったという事案も実際に起こっているからです。あくまで、エコーで診断された性別は「予想」であると思っておいた方がよいでしょう。
また、生まれるまで性別を聞かないでいたいという人は、事前にその旨を医師や臨床検査技師に伝えておくと安心です。
胎児の発育は確認できない
4Dエコーはあくまで、赤ちゃんの顔立ちを始めとした表面的な情報を確認するものです。そのため、正常に発育しているかを4Dエコーで判断することはできません。
赤ちゃんの発育を診断するためには2Dエコーを行い、骨の成長具合なども調べる必要があります。
障害の有無は確認できない
障害の有無は4Dエコーでは確認できません。ダウン症などの場合、首後ろに浮腫みのでる赤ちゃんがいるため、エコーでそれらの初見を見つけた際はさらに詳しい検査を行うこともあります。
しかし、首の浮腫みは健康な赤ちゃんにも見られることがあり、エコーの映像だけで障害の有無を確認することはできないのです。元々、エコーで障害や病気の所見を見つけられる可能性は約50%と言われています。
実際は、産まれて初めて障害や病気を持っていることが分かる赤ちゃんも多いです。心配な場合は新型出生前診断や羊水検査、母体血清マーカーなどの精密検査を検討してみてください。
【月齢別】赤ちゃんの発育とエコーで見られる仕草
赤ちゃんは、わずか10ヶ月間で小さな受精卵が人間として成長します。そんな発育の過程を4Dエコーで見ることができれば、お腹の中の我が子により深い愛着を感じるでしょう。
続いては、月齢別に赤ちゃんの発育と4Dエコーで見られる仕草について紹介します。
妊娠1~2ヶ月(妊娠0週~7週)
妊娠1~2ヶ月は、妊娠超初期・初期にあたります。妊娠2ヶ月頃に、ようやく妊娠の確定診断が出る(着床・心拍が確認される)ため、現時点では4Dエコーには、ほとんど何もうつりません。
しかし、2Dエコーでは卵嚢や心拍が確認できます。
妊娠3~4ヶ月(妊娠8週~15週)
妊娠3~4ヶ月には、赤ちゃんにも手足ができていることが確認できます。体全体を見ることができますが、まだ顔のパーツは出来あがっていないためお顔立ちはわかりません。
4Dエコーなら動いている様子も見られますが、赤ちゃんは羊水のなかをプカプカと漂っています。
妊娠5~6ヶ月(妊娠16週~23週)
妊娠5~6ヶ月には、段々とお顔のパーツが出来上がり顔立ちも分かるようになってきます。上手に手足を動かす様子や、欠伸をする様子も見ることができるでしょう。
発育具合にもよりますが、一般的にエコーで全身を1画面に収めて見ることができるのは妊娠6ヶ月頃までです。
妊娠7~8ヶ月(妊娠24週~31週)
妊娠7~8ヶ月には、エコーに全身が映らなくなるため、パーツごとに映像を見ることになります。表情なども見えるようになるため、リラックスしているお顔や眉をしかめているお顔など、可愛らしい様子を見ることができるでしょう。
また、手足も細かく動かせるようになり、指を吸っている様子や顔を触っている様子なども見られることがあります。
妊娠9~10ヶ月(妊娠32週~39週)
エコー検査は羊水内で反響した超音波を解析するため、妊娠9~10ヶ月頃には随分映像が見えにくくなるでしょう。また、体も大きく育っているため、顔の一部や体の一部などを少しずつ見ることしかできません。
脂肪もついてふっくらとしてきた妊娠9~10ヶ月の赤ちゃんは大変可愛らしく、この頃に4Dエコーで見るお顔は、実際に生まれる時のお顔とほぼ同じように見えます。
4Dエコーを行う際の注意点
4Dエコーを行う際には注意事項があります。「こんな筈じゃなかったのに」と落胆してしまうことのないよう、以下の注意点を知っておきましょう。
赤ちゃんのお顔が見えないことがある
赤ちゃんの向きや胎盤の位置、羊水の量などの関係で、お顔が見えないこともあります。医師や臨床検査技師もなるべく赤ちゃんの顔を見られるよう、エコーの当たる位置などを調整してくれることが多いです。しかし、それでも必ず見られる訳ではないことを理解しておいてください。
当院では、妊婦健診時に4Dエコーを毎回行っております(※)。そのため、赤ちゃんのお顔の向きなどによって姿がよく確認できなくても、次回の健診で再び4Dエコーを確認できます。
妊婦健診の際に4Dエコーを行うかどうかは、クリニックによって異なるので確認してみてくださいね。
※当院では平日の午前・午後のみ毎回無料で実施。平日17時以降、土日祝は対応しておりませんのでご了承ください。
まとめ
赤ちゃんがお腹のなかで、どのように成長しているのかを確認できる4Dエコーは、現代の医療技術だからこそできることです。これまで、大きくなるお腹を見ながら想像するしかなかった、お腹の赤ちゃんの様子を覗き見てみませんか?可愛らしい仕草やお顔に、産まれてくる日が待ち遠しくなることでしょう。
当院では、平日午前・午後の妊婦健診時に毎回無料で実施しております。動画の録画などは対応していませんがご自身のスマートフォンなどで撮影していただくことは可能です。
※平日17:00以降、土・日・祝日は、4Dでの検査に対応しておりませんので、あらかじめご了承ください。