低用量ピル(OC)は正しく服用することで、ほぼ100%の避妊効果と生理痛改善や生理周期を整える効果があります。
当院では、ピルについての説明や服用のアドバイスをし、安心して服用できるようにサポートしています。
低用量ピル(OC)とは
低用量ピルは、OC(oral contraceptives)や経口避妊薬とも呼ばれております。
低用量ピルには、卵胞ホルモンと黄体ホルモンという2種類の女性ホルモンが含まれており、避妊薬としてはもちろん、辛い症状を伴う月経困難症や子宮内膜症の治療にも有効とされております。
ピルを毎日一回服用することで排卵を抑制し、子宮内膜の増殖を抑える働きをするため、コンドームよりもはるかに高い避妊効果があります。正しく服用すれば、生理と自分のライフスタイルをうまくコントロールすることができ、ほぼ100%の避妊効果という最も確実で安全性が高い避妊方法で、「望まない妊娠」からあなたを守ることができます。
低用量ピルをおすすめできる方
- 妊娠したくない
- 生理痛から解放されたい
- 生理周期を安定させたい
- 生理前のイライラ(PMS)を消したい
- ニキビを治したい
- 肌をきれいにしたい
- 卵巣がん、子宮体がんを予防したい
- 大切な予定と被るので生理をずらしたい
処方の流れ
予約制であるため、お電話(011-885-1100)またはWebから予約をお願いいたします。土日祝も処方可能です。
受付までお越しください。問診票を記入していただきます。健康診断や献血などの血液検査の結果があればご持参ください。半年以内の採血結果がない場合は初診時または次回来院時に採血をさせていただいています。
※ピル服用により稀に肝臓に負担がかかることがあるため、まずは服用前の状態を知っておきたいからです。
内診はありません。簡単な問診を行い、問題がなければその場でピルをお渡しするので、お時間を取らせません。
いくつかピルの種類があるので、問診などを参考にひとりひとりに合わせた最適なピルを処方します。
初回は1ヶ月分お渡しして副作用をチェックしていただきます。問題なければ次回ご来院時はご希望に応じて最大6ヶ月分処方いたします。
ピルの価格
当院では、低用量ピルは1シート約2,500円です。種類によって異なりますので、詳細はお問い合わせください。
ピルの効果
ピルは避妊薬としてはもちろん、女性ホルモンをコントロールできることから、月経困難症をはじめとする月経に関する様々なトラブルや子宮内膜症の治療にも有効とされています。
低用量ピルを服用することで、ピルに含まれる卵胞ホルモンと黄体ホルモンが脳内にある下垂体に働きかけて、卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体化ホルモン(LH)の分泌を抑制します。このように女性ホルモンの分泌をコントロールすることで、避妊をはじめとする様々な相乗効果が生まれます。
ピルの避妊効果に関しては、正しく服用した場合の失敗率は「0.3%」と言われています。コンドームの避妊効果はどんなに完璧に使っていたとしても「2~15%は失敗する」というデータがあります。中絶手術を受けた女性の1/4はコンドームを使っていたという事実もありますので、いかにピルの避妊効果が高いことがわかります。
避妊効果
以下のトリプルブロックによって、毎日正しく服用している場合には、ほぼ100%妊娠を避けることができます。
1.排卵の抑制
卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体化ホルモン(LH)の分泌が抑えられ、排卵がおこらなくなります。
2.精子の子宮内進入の抑止
子宮頸管の粘膜を変化させて精子を子宮に入りにくくします。
3.受精卵着床の抑止
子宮内膜を変化させて、万が一排卵しても受精卵を着床しにくくします。
避妊以外の効果(副効能)
- 生理不順の改善
- 生理痛の軽減
- 経血量の減少による貧血の改善
- 生理前の肌荒れ・ニキビの改善
- 頭痛・下腹部痛・情緒不安定などの生理前症状(PMS)の軽減
- 子宮内膜症の予防と改善
- 子宮体がん・卵巣がん・その他の卵巣の病気を予防
月経困難症、月経前症候群(PMS)、子宮内膜症の改善に効果的です。また、ピルを服用することで生理が規則的に28日周期となり、いつ生理が来るか把握しやすくなります。経血量も減るので漏れる心配もなくなり、貧血も改善されます。
また、ピルで生理日を調整することもできるので、大事な試験や試合、旅行なども生理を移動させることができます。
ピルの副作用
副作用を心配される女性も多いですが、実際のところは何もない女性の方が圧倒的に多いです。服用開始時に極稀に下記のようなマイナートラブルがありますが、いずれにしても1~2ヶ月、長くても3ヶ月以内に落ち着く方がほとんどです。
ピルのマイナートラブル
不正出血、吐き気、頭痛、胸の張り、倦怠感、むくみ、など
1番多いマイナートラブルは不正出血です。色の付いたオリモノや、終わりかけの生理のような出血がダラダラと続くことがあります。2シート目以降はかなり減ってくるので様子を見て、あまりにも長く続く場合はご相談にいらしてください。
頭痛は市販の鎮痛剤で対応していただいて問題ありません。吐き気が心配な方には吐き気止めを処方するので、処方の際にご相談ください。
血栓症について
ピルを服用する以上、発症リスクは極稀ではありますが、血栓症(血管の中に血の塊が出来る病気)、脳卒中、心臓発作という重大なリスクがあることも理解が必要です。
血栓症は1年間に1万人がピルを服用すればそのうち9人、死亡する人に至っては10万人に1人の割合ですので、それほど確率が高いわけではありません。
血栓症には前ぶれがあることがほとんどですので、服用する方は、血栓症の初期症状とそのリスクが高まる状態について知っておきましょう。万が一ピルを服用中に下記のような症状が出てきたらすぐに服用を中止し、早期受診・治療を行うことが身を守ることに繋がります。
血栓症の初期症状
- ふくらはぎの痛み、むくみ、しびれ感(ふくらはぎの症状は片側に起こることが多い)
- 鈍い胸の痛み、突然の息切れ
- 胸部の押しつぶされるような痛み
- 激しい頭痛、めまい、失神
- 視覚・言語障害(視野狭窄、舌のもつれなど)
血栓症の危険が高まる状態
- 長時間同一姿勢でいること(いわゆるエコノミー症候群)
- 顕著な血圧上昇
- 脱水状態
4時間以上のフライト、ドライブ、勉強、ゲームに熱中することなどは、ピルを服用していなくても血栓症のリスクが高まります。下肢を動かす、水分を摂る、休憩をとるなどを心掛けてください。
高血圧や高脂血症などの生活習慣病の方やお酒を多く飲む人も、血流が悪いために血栓を作りやすくなります。飲酒する場合は、お水も一緒に飲みましょう。アルコールの利尿作用で、飲んだ分以上の水分が排泄されることによって、脱水になりやすいです。
ピルの服用方法
1日1錠をできるだけ毎日同じような時間に服用します。食前・食後など、食事は関係ありませんので、自分の生活スタイルの中で1番忘れない時間にしましょう。初めて服用する場合は、夕食後か寝る前をおすすめしています。
服用を忘れないために、下記のような自分に合った工夫をしてみてくださいね。
※お子さんのいらっしゃる方は、置き場所に注意が必要です。お菓子と間違って口にしてしまうことがあります
- 携帯のアラームを鳴らす
- 「mypill」などの無料アプリを利用する
- 歯磨きや洗顔とセットにする
- 食後に飲む
- 洗面台などの目に付く場所に置く
ピルを処方できないケース
ピルはほとんどの女性が服用可能ですが、血栓症などのリスクを考慮し、以下のような方には処方をしておりませんのでご了承ください。
- 35歳以上で、1日15本以上タバコを吸う人
- 前兆のある頭痛がある人
- 高血圧・高脂血症の方
- 乳がん・子宮頚がん・子宮体がんに罹っている方
喫煙されている方が、ピルの服用を希望される場合は、「まず禁煙してから」を推奨します。
また、前兆のある頭痛がある方は脳卒中のリスクが2〜4倍になるとのことで、服用禁止になっています。前兆の判断がつかない場合は脳外科に受診していただき、判断を仰ぐ場合もあります。
高血圧・高脂血症の方は、内科でコントロールがされており、他のリスクがなければ処方できる場合がございますので、ご相談にいたしてください。
慎重投与のケース
40歳以上の女性、喫煙者、BMI30以上の方
40歳以上の方は、一般に心筋梗塞などの心血管系障害が発生しやすくなる年代であるため、これを助長するおそれがあります。
また、常習的に喫煙されている方やBMI30以上の方は、心筋梗塞や血栓症などの心血管系の障害が発生しやすくなるとの報告があるため、注意して服用する必要があります。
そのほか症状や状況によっては、服用できなかったり、注意して服用する必要がある方もいらっしゃいますので、当院では服用前にチェックリストを書いていただいています。
よくあるご質問
妊娠を希望されるギリギリまで服用可能です。ピルをやめると排卵が再開して妊娠可能な状態に戻ります。
また、増えたとしても女性ホルモンが増えたことによって保水力が高まった影響であり、つまり脂肪ではなく「水分」になります。