ホルモン異常や病気などによって、生理の時以外に性器から出血することを総称して「不正出血」と呼びます。
このページでは不正出血について詳しく解説しますので、正しい知識を身につけましょう。
不正出血の症状について
出血の頻度や出血量、出血した血液の色まで原因によって様々です。
真っ赤な血、茶色い血、普段よりも出血期間が長くなる、などの異常が見られます。
尿や肛門からも不正出血することもあり、自分自身ではどこから出血しているか分からない場合が多いです。
不正出血は原因と種類が異なる
不正出血には、器質性出血と機能性出血の2種類に分けられ、それぞれ原因によって分類が分かれ対処方法も異なります。
器質性出血
器質性出血は、病原菌の感染、子宮内膜ポリープ、子宮筋腫、子宮腟部びらん、子宮体がん、子宮内膜炎…などの子宮または膣の病気が原因となる不正出血です。流産、異所性妊娠なども原因に考えられます。
出血する原因が病気により引き起こされている場合があるため、原因となっている病気を治療する必要があります。
機能性出血
機能性出血は、疲労やストレスによってホルモンバランスが崩れるホルモン異常や、卵巣機能不全、月経異常、排卵期出血(中間期出血)などが原因となり、不正出血全体の約30%が機能性出血に当たります。
特にホルモンバランスが不安定になりやすい思春期(若年層)と更年期に起こることが多いです。
また、病気ではありませんが一時的にホルモン分泌が変動することで生理と生理の間に少量の出血がおこる「中間期出血」があります。
不正出血の検査方法
不正出血がある場合、原因を知るために必要な検査を行います。
血液検査
ホルモン異常の原因を探るため、黄体化ホルモン、エストロゲン、卵胞刺激ホルモンなど女性ホルモンの分泌を検査します。
子宮がん検査
子宮体がんや子宮頸がんの検査です。不正出血によってこれらの病気の発見につながる場合もありますので、早めに検査することが大切です。
婦人科がん検診について超音波検査
子宮、卵巣からの出血がある場合、腫瘍があるか超音波を使って検査します。
妊娠反応検査
生理による出血かあるいは妊娠による出血かを判断するため、妊娠反応検査を行います。性行為から2週間以上経過していれば尿による検査が可能です。
おりもの検査
子宮の入口に細菌感染すると、子宮頚部に爛れができる場合があり、性行為を行うことで出血することがあるため、おりものを検査します。
性感染症検査
クラミジア、淋病、膣トリコモナスなどの性感染症は、子宮の入口に炎症を起こし出血することがあるため、性感染症検査をします。
性感染症について不正出血の治療方法
原因によって対処の仕方、治療方法も異なります。大きく分けて以下のような方法があります。
ホルモン異常が原因の場合
疲労やストレスなど一時的な理由でホルモン異常がある場合には、医師と相談の上で経過観察することで自然と出血は治まる場合もあります。
ただし出血期間が長引いたり量が多い場合や、貧血を引き起こしている場合には内服薬を処方することもあります。
炎症が起きている場合
性感染症や病原菌の感染によって膣炎などの炎症が起きている場合には、原因菌を退治する抗生剤を処方し、経過を見る場合があります。
腫瘍がある場合
子宮内膜ポリープ、子宮筋腫など、不正出血の原因となる腫瘍がある場合、摘出手術を行うことがあります。
その他の原因の場合
妊娠初期や着床時などの出血は医師による経過観測を行います。
傷などによる出血は縫合が必要な場合があります。
少しでも違和感を感じたら早めに受診しましょう
不正出血は子宮がんなど大きな病気が原因となっている場合もあり、出血の度合いと関連する病気の度合いは比例しません。
そのため、不正出血が起きている事自体に注意が必要であり、ご自身で判断するのは難しいため、疑いがある場合にはできるだけ早めに当クリニックまでご相談にいらしてください。